８通目　私はあなたのFast car

高校の、たった1年間、学校で一緒に過ごしただけなのに、なんであんなに楽しかったのでしょうか。

そもそも高校生、女子高生といえば「箸が転がっても」面白い年頃だからでしょうか。

そう言えば同じバンドが好きでしたね。私はビジュアルや生い立ち、全部ひっくるめて好きなタイプで、あなたは楽曲が好き、というタイプ。一緒にライブには行けなかったけど（ちょうど高校の頃は活動休止してた）、なんといま活動再開しています。私は再開後何度か一人でライブに行きましたが、今度一緒に行きませんか？

あれから、どんな音楽を聴くようになりましたか？高校の時は、エルレやホルモン、ゴイステが流行っていたかな。私はアートスクールやクラムボン、くるりを聞いていたころ。

いまはラップを聞く人が増えたよね。私はシューゲイザー系インストやスパングルを聞いているよ。

たまに、高校の時に好きだったような音楽を聴くよ。今よりも歌詞をよく聞いて、よく読んでいた気がします。厨二病特有の挙動として写経なんてこともした気がします。今や笑い話しだけども。

私が一番好きなうたは、トレイシーチャップマンのファストカー。

いまも。

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昔は「誰か私をどこかへ連れて行って」という気持ちで歌っていたけど、いまはちがう。今は、「私があんたを連れてってやる」って気持ちです。

でもどうでしょう。なんだか誰かが助けてあげないと、生きていけないような人間だったあなたは今やしっかりお仕事をして、パートナーもいる。趣味もあって充実している。私があなたを助けてあげられるようになるのが遅かったみたいです。

最近めっきり鼻歌を歌いません。カラオケに行く趣味もないので、本当に歌を歌わなくなりました。何度も耳にするCMに合わせてハミングするくらいでしょうか。（耳に残るメロディ、口ずさんでしまいますね）

若い時、私で言えば10代の間、本当によく歌を歌っていた気がします。勉強をしているときや、ドライブしているとき、かえりみち、いつでも。

若い心がそうさせたのでしょうか。不思議と歌を歌いたくなったのに。

箸が転がっても面白くて、気がつけば歌を歌っていて、ほんとうにあの頃は花のようにきらきらしていたのかもしれません。（そう自覚してはいませんでしたし、自覚している女子高生ってのもどうなんだ、という感じです。）

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Fast carって、持たざる者というか、なんて説明すれば良いのか難しいのですが、少し不遇な女性が、（文字通り）速い車を持っている誰かに、今のこの現場から連れ出してくれないか、って歌っている（と私は解釈している）のですが、つまりは「白馬の王子様待ちソング」のようだけど、歌詞を聞いていただくと決定的に王子待ちソングと違っていて、自分も努力する準備と決意ができていて、むしろ王子様のことも守っていけるっていう力強さがあって、でもそれとは裏腹に、いざ飛び出すと不安で、だから（歌詞中では）スピードを出して、周りが見えないようにして、自分をハイにして麻痺させている、というイメージで。

私はこれぞ乙女心だと思っています。

（是非歌を聞いてください、そして歌詞を読んでください）

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