5通目 ひみつのはなし
私のことを書きます。
この手紙を書き始めたのには、想い以外の幸運なファクターがありました。
まずは、「ひとりめの彼女」であるあなたのTwitterアカウントを眺めていたら、長い間休眠アカウントだったはずが、突然「帰ってきました」なムードでツイートが増えていたことにあります。私の把握しているアカウントは死んでいなかったのか〜、ここにD M送れば連絡取れるな〜、と思ったのです。にわかに再会がリアルに見えてきたのです。
そこで、重い腰をあげてブログを始めたのにはもう一つ、いま私が休職をしていることが大きい理由であるはずです。時間があるのです。時間があると人はつい、考え込んでしまうものです。そして回顧するものなのです。
そして最後に、私の中にずっと誰かに話したい、でもおいそれとは人に晒せない話しがあるからです。
彼女には高校時代から、「他の人には話せないけど、自分では抱えきれない話し」をしていました。クラスメイトとふざけて話すこととは違う、でも深刻な悩み事ではなくて、誰かと笑い飛ばしながら共有したいような、そういう話しをするときに、相手に必要な「信頼」を彼女は持っているのです。
そう、秘密の共有に適任なのです。
私はそれを話す時、特に「秘密だからね、秘密だよ」などとは言いません。でも、わたしたちの話しはクラスメイト同士が話すそれとは違うのです。
私は彼女に、初体験の話しをしたことを覚えています。
私の初体験は、感動的なものでも、悲劇的なものでもなく、かといって教科書的ないわゆる真っ当なものでもありませんでした。(念のため書き添えますが、ここでいう初体験とは初めてのセックスのことです)
私は自分に新しく作られたその「思い出」を一人で抱えきれなかったのです。誰かに話したかったのです。嬉しかったこと、相手についてどう思ったか、怖かったこと、今どう思っているか。
この話しをするのに彼女を選んだのはもう一つ理由があって、彼女にもその経験があったからです。今、30代になって思うと、人は皆、こんな時、誰かに話さずにいることなんてできないのではないかと思います。どうですか?初体験後にクールに学校に通って、誰にもそれを打ち明けずにいられるのですか?
他にも、クラスのみんなに話すことではないけど、誰かに話したいことはいつも彼女に話しました。
初めて好きな歌手のライブに行ったときには、彼女を誘いました。私の初めてに寄り添ってくれる安心感、信頼があったことと、決して人の邪魔をしない優しさが彼女にあったからです。
例えば他には、大学で進路を決める就活をしているとき、確か私たちは御茶ノ水で会ったはずです。不安や苛立ちを笑いながら話しました。
私は今、また「あなたしかわかってくれない秘密の話」をしたいのです。
出来ればお酒を飲みながら。(あなたはハイボールが好きでしたね、私はコロナビール)
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いま、あなたはあなたの好きな著名人が出演しているテレビ番組を見ながらツイートを投稿しています。
それを私はそっと見ています。
あなたが連日おすすめしていた、そのテレビ番組をもちろん私も見ています。
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もう一つ思い出したことがあります。
私、あなたのことをなんて呼んでいたかしら。
ななちゃん。
今日は、あなたおすすめのテレビ番組を見ながら。
あやより