ayan_no0の日記

0番目のあやん 手紙というかたちの日記

4通目 急なセルフ暗雲と文化祭の思い出

嗚呼、なんということでしょう。くじけそうです。

私はやはり、何としても「ひとりめの彼女」のあなたと「おしゃべり」したいと思っているわけではないのかもしれません。

熱意の炎がゆらゆらと揺れて、消えてしまいそうです。

 

今回も思い出話に花を咲かせようと思っていたのですが、あなたのSNSをのぞいたら、そこに投稿されている動画の中に、共通の知り合いの姿を見つけました。

この方は、やはり我々と同じ高校に通っていた同級生で、一時期私もとても懇意にしていた女性です。(なぜか三人でつるんでいたことはありませんでしたね)この女性とは、大学に入学してすぐの頃、仲良くしていたのですが私の新しく作ったコミュニティとあまりうまいこと合わずに、私は新しいコミュニティを大切にするために彼女とあえて疎遠になるよう振る舞ったのです。仲間内での振る舞いが、私とは合わなかったのです。

 

そんな女性が、今でもあなたのとても身近な友人だと知って、防御行動の反射神経が反応してしまいました。あなたと会えば、その女性とも顔を合わせることになるかもしれないでしょうし、反対に失礼な振る舞いをした私をその女性が嫌っていたら、間に挟まれるあなたには居心地の悪い思いをさせるでしょう。

30代にもなって、こんな小学生の痴話喧嘩のような気持ちにモヤモヤして、私は一体いつになれば大人になれるのでしょうか。めまいがします。

 

困難なことが発生すると、年齢を重ねるにつれ「解決<回避」というようにうまい避け方ばかりが身について、解決する体力がなくなってきているように感じます。

仕事でも、誰かと意見が衝突する兆しがあれば妥協点を探し始めるようになり、本来の目的がうっかり薄れてしまう場面すらあります(しかし、一種の社会的マナーでもあるので、一概にこれは間違った行為ではありませんが)。

 

・・・

 

しかしながら、ここは圧倒的受身の、モラトリアム。そんなに慌てて心配することもないでしょう。それに、その女性と対峙することになったら、それはその時考えれば良いのです。

今はしばし暗雲の中に、ただ立っていることにします。

 

・・・

 

私は、前回の手紙で「私の思うあなたの印象」について、またその結果「私たちは似ている」という話しをしました。

今日は少し具体的な思い出の話しをします。

 

高校三年生の時だったでしょうか。私たちは、あなたの志望大学の文化祭へ出かけました。志望校見学(オープンキャンパス)には、前年に我々の高校の公式行事として行っていたので、もっとカジュアルにただ「文化祭に遊びに」行ったのです。

あなたには、入学前から憧れの団体(サークルに位置するものでしょうか)があり、それは伝統ある演劇団体でした。その中に懇意にしている役者さんもいらっしゃり、あなたはそのお芝居を見たいということで公演時間に合わせての訪問でした。私はというと、その大学には特段の思い入れもありませんでしたが有名大学の文化祭、賑やかな大人のイベント、著名人の来るステージプログラムなど、気持ちの種類は違えど楽しみに感じていました。更に言えば私は高校で推薦枠を手に入れ、別の大学への進学が内定しているような状態でした。

 

その日、大学へ向かうメトロに乗って、ウキウキと浮き足立った女子高生の私たちは、地上への出口階段を登り、人の濁流に乗ってそのキャンパスへと向かいました。付属中・高校のある湾曲した通りを進み、キッチンオトボケが見えたら右に、そして小さなステージをもつ、どらま館を右手に、混雑した弁当屋や喫茶店の前を通り、いよいよその有名な講堂を臨みます。

私たちは更に奥へ進み、どの建物だったでしょうか、14号館や15号館のあたりだったのでしょうか。お目当のお芝居を見ることができました。(ここで正直に話しておくと、私はあまりそのお芝居について覚えていません、ただ、真剣に観劇しているあなたの邪魔をしないように静かにしていたのを覚えています)

あなたは観劇の後、あまり多くを語りませんでした。ただ例の俳優について「真剣に芝居している間はかっこいいんだけど。」と切ない顔で話していました。(きっとあなたに見せる普段の顔は、そうではないのでしょう)

私はというと、そのお芝居を見る直前に、別の団体が主催する出し物についての呼び込みに声をかけられ、そのあとの数年をそちらで夢中になって過ごすことになります。(この話はいつか)

 

この日は、ほんの数時間を大学で過ごしただけだったと思いますが、自分たちより少し自由で、少し大人な大学生のはしゃぐ姿を見て、怠惰で無気力に高校生活を送る自分よりずっと充実して、そして自分も大学生になるということに、とても魅力を感じることができる1日でした。私は、自分の将来の夢のためにはっきりと大学でやりたいことが決まっているタイプの子供でしたので(「自分探し」のために進学する人も多くいますよね、いいと思います)授業カリキュラムや資格取得率、大学院進学率などに興味はあれど、「大学生活」に対する想像は全くしてこなかったのです。奇しくも、この日はあなたの付き添いをしたことで新しい希望を手に入れることができました。

私は無意識にあなたをとても優秀で信頼できる人と思っていたので(実際のところその通りだと思いますが、意識せずとも潜在的にという意味です)あなたの与えてくれるこういった新しい世界や知見は、何か学びがあるような気がしてなりませんでした。私たちの若さを無駄に消費するものなどでは決してなく、例えば大学へ進学して勉強以外にこういった活動をすることに大いなる意味があるように感じさせてくれました。

 

文化祭から帰ったあと、受験勉強の大方終了していた私は、新生活を真っ当な、年相応の女の子として夢見るようになりました。急に新生活がキラキラと光って見え始めました。

 

高校生活が終わる頃、やっと素直な自分を取り戻せた気がしました。私の思春期が終わったのはこの時かもしれません。f:id:ayan_no0:20220616105827j:image

今日は、いつもと違う場所で冷たいお茶を飲みながら。

 

 

あやより