番外編 キマってる二人
会社の同期と久々に会うことになった。
というも、この同期かなり長い間休職しており、久々に浮上してきたのだ。かくいう私も休職していた。
私も彼女も、ウキウキした気持ちに処方薬の効果が乗っかって、かなりの躁状態。
カフェで2時間ほど近況報告し合った後、隅田川を散歩しながら、下流へ下流へ、5時間だべった。
5時間…
あっという間だった…
久々に会った同期の、「会わなかった間のエピソードトーク」がはちゃめちゃに面白くてずっと大爆笑していた。
特に、「婚活アプリで同じ省内の人とマッチングしてしまった話」が面白かった。
アプリ内でのやり取りでは気づかなかったが、初回デートの帰り際に、先方からおそらく同じ職場だと告げられたが、その後も複数回デートし、そのうちにかなりしょっぱい展開になったというものだ。
特にキツいのが、愛車で望まぬ送迎を勝手にしてきて、それを恩に着せてくるところだ。
「乗せてってあげたのに」
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会社を先月末で辞めた。
職場で「女性らしさ」を搾取され、無償労働することに目を瞑れなくなったのが原因か、心労で休職し、そのまま辞めた。目を瞑れなくなってというか、その無償労働をする体力がなくなって、という感じだ。
もちろんそのまま辞めた、と言うのはぱったり音信不通などではなく、正式な方法に則り、良識ある手順を踏み、常識的挨拶などを経て、辞めた。
退職します、と告げると
何も聞いてこない
原因は?と聞いてくる
次の仕事は?と聞いてくる
の3パターンであった。
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ところで話は戻って、その同期と話していて感じたのだが、彼女は日本の教育理想像的観点でいう優等生で、学歴や保有資格的に申し分のない人材である。
そして、我々と同じ職場で働くという彼(部署は違うが)もまた、そう言う意味では不足のない人物である。
しかし、ふたりのLINEのやり取りを見せてもらうと(デジタルタトゥーって怖いね!笑)、外野としてはかなり納得のいかないやり取りをしており、もう「自我がすごい!」というか、こんなにも他人に自分を押し付けられるものなのか…と、感心してしまうくらいであった。
二人だけのメッセージのやり取りであるから、密室でのコミュニケーションと言えるわけだけれども、自分の要求が相手にどう思われるかのかを推敲することが欠けているようだった。
そう、LINEなどのタイムレスなコミュニケーションって、「推敲」の隙がないよね。
例えば、件の彼は突然彼女が欲しいと話していたものの画像をポンっと送信してきていたりして、それが何を意味しているのかは一切記載せず…
その画像はネットの拾い画や、パンフレット画像などではなく、明らかにその彼が購入し、手中におさめている、というものなのだけれど、それはつまり長年「無償労働接待」を社会という場で女としてやらされてきたものならばピンときてしまうヤツで、
「プレゼントとして購入したよ!嬉しいでしょ?喜んで!そして褒めて!欲しいですと言え!」
というヤツなのだ。
まず、会話の中で欲しいモノとして挙げたそれを、「買って欲しい」とは頼んでいない訳だ。
加えて、付き合ってもいない(まあマッチングアプリで出会っている以上交際前提ではあると言えるが)人から突然のプレゼントは荷が重い。
さらに、画像だけって…一言「プレゼントしたいと思って買いました!」などあればギリギリ先走りという可愛げということで納得できるものの…
こちらからの驚嘆、喜び、感謝の接待を無意識で要求していることを自覚しているのか…
こういうふうに書くと、嬉しくないならそう言えよ!なんて言われそうだけれど、社会人として、それはできなくない?
職場が同じで、体格差があって、メッセージから察するに、コミュニケーションベタっぽくて…
そんな相手に素直に本当の気持ち言うの怖くないですか?
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テンションがずっと上がったまま、大爆笑しながら、わーわーお喋りするの、めちゃくちゃ楽しかったけど、めちゃくちゃ体力使った。
そして落ち着いていま、その時の話振り返ってたら、今度はジワジワとムカついてきている。私には全く関係ない人のやったことなのに。
もう、気づいてしまっている私には、それを素通りできないのだ。
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目が冴えている
心の目が、ずっと、冴えている