番外編 間違えて手に取る
先日、図書館で「死刑にいたる病」という本を見つけたつもりで「殺戮にいたる病」という本を手に取り、借りた。
「死刑にいたる病」は、今年映画化され阿部サダヲさんの怪演が話題になった。私も映画館で見たかったのだが、かなり怖いという口コミに怯えて、別の映画を見た。
でも、気になっていたので、いつか本で読みたいな〜と思っていたのだ。
そんな折、図書館で似た(似てない?)タイトルの本を誤って借りてしまったというわけだ。間抜けなのが、私はこの本を半分以上読んだあたりで「というか、どの役を阿部サダヲが演じたのかな?登場しないな」と思っていたのだ。そしてネットで検索して、自分のミスを知った。
でも、「誤って借りた」と書いたが、結果的に「殺戮にいたる病」はとても面白くて、とても怖くて、とても難しくて、とても読みやすくて、あっというまに読み切ってしまった。
(グロ描写が苦手な人は読まないでくださいね〜)
内容は、「死刑〜」も「殺戮〜」も女性をひどい方法で殺める犯行についての物語である。(だから途中まで気づかなかった、と自分を正当化したい笑)
本作「殺戮〜」について我孫子武丸さんの最高傑作というレビューをいくつも見かけた。内容がかなりキツい割りに、私も自分で驚くほどサクサクと読み進められたのは、きっと描写が明瞭で、「あれ?なんで?」「これってどういう意味だっけ?」などと振り返る必要がなく分かりやすいからだったと思う。
このブログを書く前にチラッと調べたら、「死に至る病」という本もあるらしい。
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小学六年生の頃だったと思う。図書館で「若葉のころ」という、装丁の美しい本をみつけた。
私は、その少し前にTVドラマで、KinKi Kidsの二人が主演する「若葉のころ」というドラマを見ていて、決して子供向けではないそのドラマに夢中になっていた(光一くんが好きだったし)。そこで、この本を見つけたときも、「小説版も読んでみるか〜」という具合で手に取り借りて帰ったのだ。読んでみると、男の子が主人公ではあったものの、ドラマと内容が全く異なっており、同性愛について描かれた小説であった(描写が綺麗で、男の子と男の子のピュアな心の交流が読めます)。結果的にこれも面白かったので読み切ったのだが、目的の本とは間違えていることを知った。
私が読んだのは、長野まゆみさんの「若葉のころ」
ドラマ化されていたのは、小松江里子さんの「若葉のころ」
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インターネット検索が身近になり、子供でもインターネットを使いこなすようになったころ(15年前くらいかな?)、情報へのアプローチがダイレクトで限定的になり、周辺の関連情報へ触れる機会が減ってしまう、ということを問題視している有識者がいた。
(例えば、風邪薬の成分のコレは何かな?と検索バーに成分名を入れればその情報をすぐ掴めるが、栄養素図鑑や薬品図鑑で調べれば、必然的に他のページにも目を通し、周辺情報をもつかむ機会がある、とかそういうことである)
私は、これを問題視してはいない。知りたい情報にダイレクトアプローチできることに賛成だし、関連情報・周辺情報にまで視野を広げられるかは、結局本人次第だからだ。
でも、私のこの「本のタイトルや作者を間違えて手にとったけど、面白かったからそのまま読んだ」経験は確かにアナログ的ミスが生んだ産物かもしれない(いや、電子書籍でも起こりえるか笑)
自分では、直接選択しなかったであろう「間違えて読んだ二冊の本」もいま振り返ると、とても面白かったので悪くない時間だった。
それに、こういう思い出と一緒に記憶される方が、案外その内容もすっと覚えていたりする。面白いものだ。
これからも、偶然間違えて、面白いものに出会いたい。