ayan_no0の日記

0番目のあやん 手紙というかたちの日記

番外編 街を歩く1

5年前に暮らしていた街を思い出す。

知っている街だったら一緒に散歩してみて。

 

家は築10年ほどの7階建マンション。

2LDK。

ベランダは手すり壁で、閉じた印象。

フローリングが暗い色だから窓を開け放して太陽を反射させる。

角部屋の窓はどちらも道路に面していて、南側の細い4m道路に面しているのがベランダ。東側に面しているのが引き違いの腰窓。

 

ベランダから下を眺めると、道路を歩く白猫。

南側にある印刷所には猫が暮らしていた。白、サビ、茶トラ。

その建物にはニオイバンマツリが植わっていて、春から秋まで香る。その下で昼寝するサビ。赤い自転車が朝きて、夜帰る。

f:id:ayan_no0:20220729103440j:image

ニオイバンマツリを左に、通り抜けた先にロッキンパッピーしかいない芝生張りの公園。公園を無くすな!と言う横断幕が北側の、集合住宅のバルコニーに架けられている。

 

道を曲がって南に向かうと、パン屋とスーパーが両側に登場する。このまま南に進めば、別の猫家族が微睡むピロティのある家にたどり着くし、西へ進めば、アコーディオンが見たことないくらいたくさん並んだ楽器店。西の町は大きな架構で駅と駅が繋がる学生街。

f:id:ayan_no0:20220729103422j:image

私は南の町へ。この町には本屋がない。いい意味でも悪い意味でもあるのだけど、この町には本を読みそうな人があまりいないなと感じていた。昔は駅の構内に本屋があった。

 

駅に着くと、沢山の生地の専門店とびっくりするくらい安い洋品店。500円でストールを買った。

 

このまま駅を通り抜けて橋を渡る。橋の下には沢山の線路。休日には新幹線や電車を見にきた子供でいっぱい。

 

橋の先に繋がる坂を登る。左手の東側には歴史のある墓地がひろがり、私はその先のショコラティエで夏は避暑。ひんやり溶けるチョコレートケーキの香りが鼻を抜ける。

坂の西側にあるお寺には、これまた茶トラの猫。

 

私はまだまだ南へ。お寺を過ぎたあたりからは、下り坂。地形が降り始めるその頂に、眼下へ続く商店街の入り口となる大階段があって、その階段には白黒のハチワレ猫、黒猫。子猫が今年も生まれたみたい。

 

階段の頂上にはアホウドリという名前の古本屋が入ったビル。マグリットの画集を買って1階のカフェでビールを飲む。階段の裏手にある坂には、あの日二人でいったワインバーがあって、坂と階段を下り切ったら今日も行列、あの有名なかき氷屋が営業中。お盆にあふれたフルーツソース。

 

商店街を進む。猫の尻尾を模したカステラをお土産に買って、メンチカツを食べ歩き。角打ちも楽しそう。生姜の蕎麦屋には夏の暑い日に行ったことがあるね。

商店街を突き当たりまで行けば、いつのまにか西に向かっていた進路をやはり南に曲がる。

南へ伸びる商店が並ぶその道にはかわいいパン屋さん。

もう一本西側の大きな道にはメトロの駅もあるのだけど、裏手の道で十分。明るくて賑やかで寂しくない。

f:id:ayan_no0:20220729103526j:image

この道を南に進めば、千本鳥居とつつじの神社がある町に到着。ここが谷間になっていて、また上り坂。南へ坂を登る。

 

小さな古本屋がある右側の歩道を歩くのが私のルール。

校舎が見えたら信号を渡って、坂を下る。

 

有名な正門とは反対側の門を、竹久夢二横目にくぐる。大きな声で「お疲れ様でーす」と守衛さんに声をかけて、1日のスタートをいい気分にする。

でもおかしいな、もう午後だ。

 

大きな日陰に守られた煉瓦造りの建物が並ぶ。石畳の上を歩きながら、ビル街では見られない四季を見る。

f:id:ayan_no0:20220729103506j:image

私の大好きな街。

私の通勤路。

私の思い出。