ayan_no0の日記

0番目のあやん 手紙というかたちの日記

番外編 不純な夏野菜

知ってる?クチナシの花は黄色くなって枯れていく。

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我が家にはクチナシの鉢があって、何とか毎年5月末頃に満開になってくれるが、鉢をもっと大きなものにしないと、限界があるだろう。

 

私は植物を趣味…とまではいえないまでも、割と多く世話している。とはいえ庭を持っていないので、もっぱらベランダで育てているのだ。

ここ数年はメンバーは変わらず、

ハゴロモジャスミン

エンジェリックマーガレット

アボカド(※)

ベルロマンティカ(つるばら)

プリンセスゴースト(フレンチラベンダー)

ピンクパフューム(なでしこ)

みかん(貰い物の鉢)

シルクオレンジ(胡蝶蘭

サボテン(貰い物)

白梅の盆栽

多肉植物(もりもりのやつ)

となっていて、

※アボカドは、食べ終わった種を何の気なしに水耕栽培したところ、割と立派な根が出たので鉢に植えたら、今や2mを越える高さに育っている。

 

いまのところ引っ越しの多い人生だったので(単に異動の多い会社だっただけ)、これらの鉢の移動も大仕事だ。引越し見積もりの時は鉢の話しをし忘れると痛い目を見るので要注意。

 

今回は植物談義がしたいわけではなくて(つまりここまでは前置き)、私は植物を育てている人と話したり、そのことについて尋ねられたりすることが好きだ。もっといえばそう言うことに興味を持っている男性が好きだ。

両親とも、ベランダー(ベランダでガーデニングを楽しむ人)で、私も幼少期から土の世話(振るったり、干したりなどなど)をしていた。

植物に詳しい人が好きなわけではない。花の名前に疎くてかまわない。植物を育てることをこなせる人が好きなのだ。

今より若い時、男性の部屋に行き、その部屋の観葉植物の葉にホコリが積もっているのを見たことがある。植物は元気だった。日当たりが良かった。洒落た部屋にたくさんの植物を並べている人もいた。ワイヤープランツは葉が枯れて、マジでワイヤーみたいになっていた。何となく植物を買ってみるのはままあることだ。私も勢いで大量の金魚草を買ったことがある(ひと夏、楽しませてもらった)。でもその、一緒に暮らす植物をつぶさに眺めていれば、あまりホコリが積もるようなことはないと思うのだ。

私は彼らに育てられた植物に自分を見ているのかもしれない(言い過ぎか?)。

 

最後まで大切にしてくれますか?

 

縁があってお付き合いをした男性の中に、植物を育てている人が多かった。前述のとおり、まともに世話をしているとは思えない人もいたが、なかでも記憶に残る人がいて、彼はオシャレなボタニカルライフとは程遠い(全然それで問題ない、むしろ好感がもてる)、家庭菜園をしている人だった。夏場には比較的育てることが簡単な夏野菜をいくつか育て、それが実るとプレゼントしてくれた。私はそれを調理して食べさせた。

トマトは野生味の強い、普段食べるものとはまるで違った。シソはスーパーに並ぶものより2倍くらい大きくエゴマのようだった。ナスは歪んでピカピカだった。

なんだかんだ言って都会で野菜を育てることは容易ではないし、プランターならなおさら難しい。おしゃれ多肉植物を部屋で少し育てたことがあるだけの人には想像もつかないくらい多くの土が必要になる。かくいう私も野菜をうまく育て切れたことはない気がする。バジルやルッコラなんかは過酷な状況に強く、割と市販のものに近い状態まで辿り着けるのだが。

私はたまに、あの時もらったシソのことを思い出す。

あの人には彼女がいた。私たちはそのことを話したり意識しないようにしていた(少なくとも私は)。私が俗に言う二番目(むしろそれ以下かも?)で、友達と恋人の間のような感じだったと思う。私たちはクリーンな関係ではなかったけれど、植物の話しや自然な話し、料理の話し、アートの話しをした。俗な趣味がなく(逆に俗な趣味って何だって話しだが)、私たちはいつも小学生と話しても恥ずかしくないようなピュアな事柄について話していた。

誰かを傷つけることになる関係の二人が、誰も傷つける気はなくて、誰も傷つけたくなくて、ただ自然なものに囲まれて、自然の恵みや流れを感じながら穏やかにいたいと願っていたけど、こんな話しをしたら虫が良すぎて、友達を全員失ってしまうなと思う。

不純な二人が育てた夏野菜は、綺麗じゃないのかな。

 

私はよく、花の名を教えた。道端に咲く花や私の育てる花がひらけばそれを伝えた。

きっとまだそれらを覚えているはずだ。花は毎年咲くから。